健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT

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◆出産・育児期、若年女性に関する健康支援

女性の社会進出の拡大とともに健康課題も変化
若年時からバランスの良い食事と適度な運動、ストレスケアを

社会環境が大きく変化していく中、主に、若年世代(10代後半から30代)の女性の健康をどう考えていくべきなのでしょうか。医師として女性の健康課題の解決に取り組む傍ら、さまざまな企業の健康経営をサポートしているフィーカ レディースクリニック院長の佐野麻利子氏に聞きました。

フィーカ レディースクリニック
院長 佐野 麻利子氏
就業世代の若年女性に多い健康課題にはどのようなものがあるでしょうか。

現在の日本の社会は、少子化・超高齢化しています。強い経済をつくるには、女性の雇用拡大の本格化するとともに、女性の社会進出に向けて、健康をマネージメントする視点が大事です。

女性特有の婦人科疾患はさまざまですが、いずれも患ったことのない女性に比べて、生活の質や労働生産性が低下することが分かっています。

現代の女性は昔の女性と比べると、出産回数が減っているため月経回数が増えており、月経不順、月経困難症、過多月経、子宮筋腫、子宮内膜症、月経前症候群などの月経関連疾患を抱える人が増えています。これらの月経に関連する疾患は、仕事のパフォーマンスにも影響を与えます。

また、就業世代の若年女性は妊娠適齢期でもありますが、妊娠を考えたときに仕事との両立が難しいと思う女性も多くいます。不妊治療で通院となると働き方を変えざるを得ない人もいます。

健康寿命延伸のために、若年時から意識するべきこと、生活習慣の中で気を付けたほうがいいことは、どのようなことでしょうか。

日本人女性の平均寿命は86歳であるのに対し、健康寿命は74歳。その差は12年であることが報告されています。つまり、女性は人生の約7分の1を「寝たきり」や「要介護」の状態で過ごしていることになり、健康寿命をのばすための試みが国を挙げての課題となっています。

また、現代の若年女性では「痩せ」の割合が増加しています。

厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、20代のエネルギー摂取量の年次推移は、1995年の約1,875Kcalと比べると2013年は約1,640Kcalと低下しています。この背景としては、不規則な食生活、間違ったダイエット志向、朝食欠食、運動不足、夜型生活習慣などが挙げられます。

そして、食文化の崩壊、生活習慣の乱れにより、日本女性の健康低下が危惧されます。エネルギーとバランスの良い栄養摂取(たんぱく質、ビタミン・ミネラルなど)や日常的に運動を取り入れた生活習慣改善が重要となります。

職場の健康づくり担当者が具体的な対策・施策を考える際には、どのようなことを意識するべきでしょうか。

女性の健康を踏まえ、次の3つの施策を実施することで、病気等による休職や離職の防止、帰属意識の向上といった効果を期待できるでしょう。

① リテラシーの向上
研修の中で女性の健康について取り上げることで、女性従業員も自分たちの健康に対する対処方法を知り、男性従業員や管理職も同僚や部下への接し方を知ることができる。

② 相談窓口の設置
女性従業員がちょっとした不調を相談したり、管理職が部下の健康状態を見ながら対処方法を相談することができる。

③ 働きやすい環境
テレワークや休暇の整備、シフト改善等の制度を整備し、管理職や男性従業員も含めて実践することで、女性従業員がそれぞれの健康状態に合わせた柔軟な働き方ができる。

若年女性への健康づくりアドバイスをお聞かせください。

健康づくりに必要なのは、適度な運動、バランスの良い食事とストレスケアです。

運動は、有酸素運動と無酸素運動を組み合わせることが理想です。

バランスの良い食事は、まずは朝食をしっかり食べることから。食事の基本は、なるべく多くの種類の食材を摂ることです。そして、食べるときは食べる順番を考え、食材は血糖値が上がりにくいものを選び、ゆっくりとよく噛んで食べることが重要です。

そして、ストレスケアは自分の身体の声をよく聞き、体を休めること。「好きなアーティストの音楽を聴く」「温泉に入る」「仲間とのおしゃべりや会食」など、自分に合ったストレスケアをするのもいいと思います。

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