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COPD(慢性閉塞性肺疾患)

慢性閉塞性肺疾患(まんせいへいそくせいはいしっかん/COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)は、主に長年の喫煙習慣や肺の成長障害が原因となって、徐々に呼吸機能が低下していく肺の病気です。以前は「慢性気管支炎」、「肺気腫」と別々に呼ばれていた疾患の大部分を含んだ疾病概念です。最近では、全身の炎症を伴い、さまざまな他の内臓の疾患を合併すること(併存症)が多く、フレイル・サルコペニアの原因となることも注目されています。

フレイルとは、加齢によって心身の活力が低下した状態、サルコペニアは筋肉量が低下した状態です。フレイルやサルコペニアの状態になると、介護が必要になったり、転倒する危険が高まります。症状として、体重が減る、疲れやすい、歩くのが遅くなる、ペットボトルが開けにくい、食べ物を噛んで飲み込む力が弱くなるなどが見られます。
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/about.html
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/frailty/sarcopenia-about.html

COPDって、どんな病気?

COPDではたばこなどに含まれる有害物質を長年吸い込むことで、空気の通り道の気管支に慢性的な炎症が生じて痰が詰まったり、気管支の壁が分厚くなって内腔が狭くなります。これらを気道病変(以前は慢性気管支炎と呼んでいました)といいます。また、気管支の先にある肺胞(はいほう)が少しずつ破壊されていきます。これは、肺気腫といいます。これらの結果、肺の機能が気づかないうちに徐々に蝕まれていき、肺の動きが悪くなって息をするのがつらくなったり、進行するとからだが酸素欠乏になる病気です。

正常の肺とCOPDの肺

【正常の肺胞】
正常の肺とCOPDの肺

出典:https://www.kango-roo.com/ki/

気管・気管支は空気の通り道で、二股に分かれながら、だんだんと細くなっていって、肺胞につながります。肺胞は肺全体を埋め尽くしていて、肺胞の周囲には毛細血管が走行しており、肺胞で酸素を血液に取り入れて、血液中から二酸化炭素を放出しています(ガス交換といいます)。

大人には2億個くらいの肺胞があるといわれており、肺胞が集合してブドウの房や、スポンジのような形状をしています。仮に全部の肺胞を広げるとその面積はダブルスのテニスコートの半面くらいに相当するといわれています。
COPDの肺では、肺胞が壊れ、肺気腫になります。肺気腫の部分ではガス交換がうまくできません。また、空気の通り道である気管支が狭くなり、吸った息をうまく吐き出せなくなります。

COPDって、どんな病気?

COPDの原因は?

COPDの原因は?

COPDの主な原因はたばこ(患者の多くが喫煙者又は喫煙経験者!)であることから「肺の生活習慣病」ともいわれています。

WHO(世界保健機関)によれば、2019年に世界でCOPDにより亡くなった人は約323万人で、死亡原因の3位です。
厚生労働省や日本呼吸器学会などの統計によると、日本国内では2021年のCOPDによる死亡者数は16,384人で男性では死亡原因の第9位となっています。診断されていない患者さんも多数おられますので、実際の数字はもっと多いと考えられます。国内の潜在的な患者数は530万人以上いると推計され、年々増えていると考えられますが、2017年の統計で診断されているのは22万人にすぎません。

COPDの症状は?

肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなる

代表的な症状

この病気の恐ろしいのは、初期は無症状で、ゆっくりと進行し、息切れなどを自覚したころには、病気がかなり進行していることが多くて、しかももとどおりには治らない、ということです。現代の医学では、一度壊れてしまった肺胞をもとどおりにする治療はありません。

重症化を防ぐには

COPDになると、肺の機能は健常の老化よりも急速に低下していくことが多いので、早期に診断して適切な治療を受けることが重要です。

喫煙者や過去に喫煙したことがある中高年者で、痰がからみやすい、風邪をひきやすい、風邪がこじれやすいなどの経験がある人はCOPDの可能性があります。また、普段は元気でも風邪を引いたときに喉や気管が“ぜいぜい”ということがあれば喘息やCOPDの可能性があるので、医療機関への受診をお勧めします。進行してくると、日常生活で息切れを感じることが多いですが、“年を取っただけ”と見過ごされていることも珍しくありません。簡単な質問票もありますので、気になる方はセルフチェックをしてみてください(https://www.copd-jp.com/diagnosis/)。

治療で最も大切なことは、すぐに禁煙をすることです。さらに適切な薬物治療・非薬物治療(適切な生活習慣、日々の運動習慣、リハビリなど)により、病気の進行をできる限り食い止め、健康的なライフスタイルを維持することができます。

COPDの主な治療薬は、気管支を広げて呼吸をしやすくする気管支拡張薬です。通常、1日に1~2回、定期的に吸入することで息切れを軽減し、体調の悪化を予防することができます。また、COPDは気道感染(いわゆる風邪)や肺炎などで病態が悪化・進行していきます。COPDの更なる悪化を予防するために、肺炎球菌ワクチンやインフルエンザワクチンの接種が有効とされています。また、COPDの患者さんは、新型コロナウイルス感染症にかかると重症化するリスクが高まりますので、新型コロナウイルスワクチンの接種が大切です。
息切れを感じるようになって、日々の活動性が低下しますと、COPDも悪化していくことが知られていますので、主治医とよく相談して、無理のない範囲で運動習慣を身に着けることも大切です。

また、COPDでは、さまざまな他の内臓の疾患の合併(併存症)が多いことが知られています。特に、肺がんを筆頭とする悪性腫瘍、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞など)・心不全・糖尿病・フレイル/サルコペニア・骨粗しょう症、消化性潰瘍や胃食道逆流などが知られています。COPDの呼吸器内科的治療に加えて、このような併存症の有無のチェックと管理も大切です。

COPDはどうやって診断するの?

COPDが疑わしいかどうかは、内科の中でも呼吸器内科を専門にしている診療所や病院で、スパイロメーターという機械を用いて、肺機能検査を受ければ、簡単にわかります。

検査結果1秒率70%未満 COPDの疑い

スパイロメーターを用いて、どれだけ多くの空気(息)を吸い込むことができ、どれだけ大量にすばやく吐き出せるか調べることができます。この検査で、肺の中の状態(気管支と肺胞の状態)を推測することができます。

もっと詳しく知りたい方へ

こちらで、理解をより深めることができます。

COPD情報サイト(一般社団法人GOLD日本委員会)

COPDは全身の病気です~知っておきましょう、肺合併症と全身併存症のこと~①(全4回)|WEB版すこやかライフ|独立行政法人環境再生保全機構