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食堂初のヘルシーメニューとして
スマートミールを導入
お弁当の認証取得も推進中
旭化成株式会社(岡富食堂・愛宕食堂)
旭化成は、全国の事業所にあるすべての食堂でスマートミール認証を取得したメニューを提供しています。今回は、旭化成の福利厚生を管理・運営する旭化成福利サービスの山田喜彦さんに、社員食堂における食事を通じた健康づくりの取組についてお話を伺いました。
- 岡富工場と愛宕事業場の両食堂でスマートミール認証を取得していますが、きっかけと導入の経緯について教えてください。
- 山田さん:旭化成グループ全体で健康経営を推進していくことになったのが一番の理由です。当社は旭化成の福利厚生を運営する会社で、工場・事業所内の食堂の運営も行っています。従業員の皆さんの健康増進に向けて何ができるかを検討した結果、従業員にもっと健康意識を高めてもらいたい。そのきっかけとして食堂にヘルシーメニューを導入し、認証取得を進めて行くことにしました。
そこでまず、会社全体としてスマートミールに関する知見を得るために、委託給食会社の紹介でスマートミールを導入している他社の社員食堂を視察しました。私自身は、このときに初めてスマートミールについて詳しく知ったのですが、栄養バランスの良さだけでなく、見た目の華やかさもあって、直観的に「良さそうだな」と感じました。
その後、私たち延岡事業所で運営している岡富工場・愛宕事業場の両食堂へのスマートミール導入に向けて、委託給食サービスを展開している栄食メディックス株式会社と協働のプロジェクトを立ち上げました。私たちがプロジェクト全体の管理や従業員へのPR活動など、栄食メディックスがメニュー開発や試食会の実施など、というように分担して進めていきました。そして、2019年8月にスマートミール認証を取得し、「スマートランチ」という名称で約40種類のメニューを日替わりで提供しています。 - 2つの社員食堂の特徴について教えてください。
- 山田さん:両食堂とも営業時間は11時30分~13時としており、11時30分からは主に製造系の方、12時からは事務系の方を中心にご利用いただいています。メニューは、主菜(2~3種類)、副菜、小鉢、麺類(うどん・ラーメン・ちゃんぽん・そば)、デザートなどをアラカルト式で提供していますが、スマートミールだけは定食で提供しています。岡富食堂は2009年ごろに建て替えた比較的新しい施設で、3方向の窓から自然光が差し込む開放的な空間です。愛宕食堂はできてから50年ほど経つ建物ですが、できるだけ快適に食事を楽しんでもらえるよう、テーブルや椅子を最近新しくしました。利用者の多くは、食堂が入っている建物とその周辺で働いている方々で、コロナ禍前の一日あたりの利用者数は、岡富食堂が平均200人前後、愛宕食堂が平均150人前後。現在は、その5~6割といったところです。
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岡富食堂では、のぼり旗や掲示物などで「スマートランチ」(スマートミールのランチメニュー)をPR(提供:旭化成福利サービス株式会社) - スマートミールに対する利用者の反応・感想はいかがでしょうか。
- 山田さん:食堂利用者のうち、2割くらいの方がスマートミールを召し上がります。この「2割」という数字は、導入時の目標だったので上々だと思います。評判も良く、導入から約1か月後に行った利用者アンケートでは「主食・主菜・副菜をきちんと食べられるのがうれしい」「栄養バランスが良いのでこれからも注文したい」「ごはんの量がちょうどいい」「ほかのメニューよりも値段が安いのでお財布にやさしい」といった声が寄せられています。スマートミールの値段をほかのメニューより安くしているのは、できるだけ多くの方に食べていただきたいという思いからです(スマートミールは340円、その他のメニューは400円前後)。
月1回、委託給食会社と打合せをして喫食率の低いメニューを見直したり、旬に応じた新メニューを投入したりしているのですが、その中で分かったのが、魚メニューをなかなか食べてもらえないということです。メニューと喫食数データの関連性を調べてみると、西京焼きや照り焼きといった“魚の印象が強い料理”よりも、フライにしたり野菜と一緒に炒めたりすることで“魚の印象を抑えた料理”のほうが、人気があると分かりました。こうしたデータ分析もメニュー開発に取り入れています。 - スマートミールを導入したことで、従業員の皆さんの健康面への影響はあったのでしょうか。
- 山田さん:スマートミール導入前後の健康意識や健診結果の変化といった効果検証については、2020年度に実施する予定だったのですが、コロナ禍の影響で食堂利用者が減ったため、2021年度にスライドされました。そのため、現時点でははっきりとは分かっていません。スマートミールの影響が健診結果にどのくらい表れるのか、私自身も非常に関心があります。
- スマートミールや、“食事と健康”に関心を持ってもらうために、PR方法やイベントなどで工夫していることはありますか?
- 山田さん:実は、スマートミールに限らず、ヘルシーメニューを提供すること自体が初めての試みだったので、スマートミール認証のことを知らない人が多く、私自身も「どのくらい召し上がっていただけるのか」「果たして満足していただけるのか」など、不安がありました。そのため、導入前のPRは積極的にやりました。提供をスタートしたのは2019年6月ですが、5月ごろからPR活動を集中的に行い、ポスターやPOP、のぼり旗でなどで提供開始を予告するだけでなく、認証基準について説明したポスターも作り、事業所内や食堂内の目につくところに多数設置しました。
その前には、従業員の代表者を集めて試食会を実施しました。試食会はおおむね好評で手応えがありましたが、「彩りがいま一つ」という意見が出たので、メニュー開発に生かしています。
“食事と健康”に関心を持ってもらう取組としては、食堂会社と連携して実施している血管年齢や骨密度の測定会などの健康イベントがあります。ランチのついでに気軽に受けてもらえるよう、食堂の一角で実施しています。 -
食堂の一角で健康イベントを実施(提供:旭化成福利サービス株式会社) - 最後に、食事を通じた健康づくりについて、今後の展望をお聞かせください。
- 山田さん:岡富工場は敷地が非常に広く、それこそ、端から端まで歩いたら昼休みの時間が終わってしまうほどです。そのため、お弁当を配達しているのですが、食堂よりも利用する方がたくさんいます。お弁当は3種類販売していて、合計で一日約900食。うち1種類がスマートミールの認証基準に合わせた「スマート十六穀米弁当」で、一日約200食出ます。ほかの2種類のお弁当が410円と350円なのに対して、スマート弁当は320円。お得感もあって、食堂で提供しているスマートミールと同様、2割くらいの方にご利用いただいています。まずは、このお弁当でスマートミール認証を取得することが目標です。これと並行して、岡富食堂、愛宕食堂の改善も進めていきたいですね。両食堂とも現在はスマートミールの認証ランクが「二ツ星」なので、「三ツ星」を目指して取り組んでいます。
また2021年度に予定している健康面への影響を含む効果検証において、スマートミールの効果が具体的に見えてくれば、より効果的に従業員の皆さんの健康づくりに生かすことができるのではないかと考えています。具体的なことはまだまだこれからですが、健保組合や健康管理室などと連携しながら、今後の取組に役立てていきたいですね。 -
2020年10月から販売を開始した「スマート十六穀米弁当」。スマートミール認証の取得を目標にしている(2021年3月現在、申請中)(提供:旭化成福利サービス株式会社)