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多くの従業員が利用する
社員食堂を健康づくりの要所に
コマツ(茨城工場 第一食堂・第二食堂)
スマートミール認証を取得した事業者の取り組みを紹介する「全国スマートミール探訪」。今回は、社員食堂でスマートミール認証メニューを提供する、コマツ(株式会社小松製作所 本社/東京都港区)です。社員食堂におけるスマートミールの提供をはじめとする、食事を通じた従業員の健康づくりについて話を聞きました。
- コマツグループでは、従業員の健康づくりをどのように進めているのでしょうか。
- 平岡さん:創立100周年を迎える2021年に向けて、2014年度から「健康コマツ100」という健康づくりの中期計画(2019年度から第2期)を進めています。「幸せな健康長寿100歳を目指す」という意味もあり、全ての従業員が自発的に健康行動を習慣化できることをゴールとして、食事改善や禁煙、ストレス対策など、さまざまな視点から職場環境の整備に取り組んでいます。
食事を通じた健康づくりについては、「健康に気を付けたい社員が選べる選択肢を作る」「多くの社員が少しでも選びたくなる、健康に気を付ける仕掛け、環境を作る」という2つをコンセプトに位置付け、独自に作成した「コマツヘルシー食堂チェックリスト」を活用しながら国内20カ所ある工場の社員食堂の改善プロジェクトを進めています。 -
コマツが独自に作成したヘルシー食堂チェックリスト。「ヘルシーメニューを提供する」「ヘルシーメニューを選びやすくする」「健康な食堂を管理する」という観点に基づく46個のチェック項目で構成されている。 - 工場の従業員は、栄養バランスの良い食事が大切なのはもちろんですが、体を動かすのでボリュームに対するニーズもあります。また、女性従業員が増えていることもあり、食事に対するニーズも多様化しています。そうしたことから、何かを強制するのではなく、選択肢を増やしたり、健康に関心を抱くきっかけをつくったりすることを重視しています。
社員食堂におけるスマートミール認証の取得はこうした取り組みの一環で、一年度あたり2~3拠点の認証取得を進めていく計画です。2020年度は、従来から社員食堂改革を積極的に行ってきた茨城・粟津・栃木の3つの工場で認証を取得しましたが、これを先行事例として他の工場に横展開を図っていくねらいです。
- 茨城工場は、食事を通じた健康づくりに関して、どのような取り組みを行ってきたのでしょうか。
- 増田さん:茨城工場は2007年に竣工した比較的新しい工場で、現在、約900名の従業員が勤務しています。単身赴任者や県外からの長距離通勤者が多く、平均年齢は男性が37歳、女性が30歳と、若年層が多いことも特徴です。工場周辺には飲食店がなく、多くの従業員が社員食堂を利用するため、操業開始時から野菜を中心としたベジランチを提供するなど、食事を通じた健康づくりに取り組んできました。
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茨城工場の社員食堂。お昼時には多くの利用者でにぎわう。(2021年2月撮影、コロナ対策のため食堂レイアウトに配慮) - しかし、BMI25.0以上の「肥満」に該当する者が従業員の約3割にのぼり、これがなかなか減らないことが課題となっていました。若年層が多いこともあって、生活習慣病の重症者は少ないものの、できるだけ早く対策をする必要性を感じていました。一方で、定期健診時に行っている従業員アンケートの結果から、生活習慣病対策や生活習慣の改善に関心を持っている者の割合が高いことが分かりました。
そこで、当工場の総務課・労働組合・健康管理室と、社員食堂を運営するグリーンハウスさんとで「給食委員会」を組織、さらに、工場長の強い後押しもあって、2014年に社員食堂の改善プロジェクトを本格的にスタートさせました。 -
「給食委員会」の活動に興味を持ってもらうための掲示物。 - まず、給食委員会が中心となって従業員アンケートや試食会などを実施し、「さまざまなおかずをバランスよく食べられる」と評判の良かった「6マスプレート」を2015年に導入。2017年からは、「6マスプレート」とは別に、“スタミナUP”“冷え性対策”などの目的別ランチメニューを週2回提供するようにしました。
また、より多くの従業員に関心を持ってもらえるように、健康と食事に関するセミナーを開催したり、栄養について解説したパネルを食堂内に掲示したり、売店でも補食の上手なとり方を解説したポップを掲示するといったこともしています。 - スマートミール認証の取得に向けて、具体的にどのような取り組みを進めていったのでしょうか。
- 平岡さん:まず、2019年に、生活習慣改善推進チームのプロジェクトの一環として各工場の社員食堂、売店等における健康増進活動についてヒアリングし、全社の状況を把握することからスタートしました。その結果得られた良好事例とスマートミール認証の基準を組み合わせて作成したのが「コマツヘルシー食堂チェックリスト」なのですが、これを用いた改善活動を勧奨する一方、すでに改善が進んでいた茨城・粟津・栃木の3つの工場にスマートミール認証の取得を呼び掛けました。
増田さん:茨城工場では、給食委員会が中心となって、2020年1月から試食会を実施して味や量をチェックしたり、開始時期の調整などの準備を進めていきました。食器類は、「6マスプレート」を活用する案もあったのですが、新しい取り組みに興味を持ってもらいたかったので、スマートミール専用の器とトレーを導入することにし、また、「6マスプレート」とスマートミールの違いをポスターなどで掲示したりもしました。 -
2020年1月に実施したスマートミール試食会の様子。参加者には「味」「ボリューム」「見た目」について評価してもらった。 - スマートミールのメニュー開発や取得に向けた手続きなどは、グリーンハウスさんが豊富な知見を持っていたのでスムーズでした。認証を受けたのは2020年8月ですが、認証基準を満たすメニューの提供を開始したのは2020年4月からです。
一日あたりの平均喫食数は、スマートミールが50~60食で、「6マスプレート」が35~40食なので、かなり好評と言えると思います。2020年9月には、6マスプレートは廃止し、ヘルシーメニューはスマートミールに一本化しました。 -
2020年4月からのスマートミール提供開始を前に、さまざまなパターンの掲示物で告知。 - グリーンハウス担当者:社員食堂では、スマートミールメニューを日替わりで提供しています。メニュー全体の工夫としては、1つのセットの中で味の濃淡やスパイスを利かせてメリハリをつけることで味がぼやけないようにしています。
また、ボリューム重視の定食、麺類・丼物もあるのですが、ボリュームを求める方にもスマートミールを選んでいただけるように、揚げ物を入れるなどの工夫もしています。一番人気で毎回70食以上の注文がある「フライドチキンペッパー&チーズセット」は、フライドチキンで油を使う分、副菜の小松菜は茹で、じゃがいもは焼くことでカロリーを抑えています。
平岡さん:スマートミールは従業員からの評価も高いです。「『味が薄そう』というイメージを持っていたが、おいしい」「休みの日に栄養バランスが乱れがちなので、平日はスマートミールを選ぶようにしている」「管理栄養士さんが考えているメニューなので食べたいと思う」「仕事上、体を動かすので少し足りないと感じることもあるが、体の調子が良くなった」といった意見が寄せられています。 - 最後に、食事を通じた健康づくりについて、今後の展望をお聞かせください。
- 平岡さん:同じ社員食堂でも、栃木工場は提供スタイルがカフェテリア方式なのでスマートミール専用コーナーを設けましたが、茨城工場は定食方式なので2種類の定食のうち1種類をスマートミールにしました。全国13カ所の工場(社員食堂20か所)でスマートミール認証の取得を順次進めていますが、各拠点の事情やこれまでの取り組みを踏まえ、それぞれの食堂の運営を委託している事業者と協力しながら、アレンジしていくことが重要だと考えています。
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スマートミールの人気メニューの一例。「フライドチキンペッパー&チーズセット」(写真左)、「豆腐ステーキ 茸そぼろあんセット」(写真右)。 - 増田さん:スマートミールの提供は昨年4月から開始していますが、毎日の提供を開始したのは2020年の9月からとなります。本格的なスマートミール提供後の健康診断は2021年の6月以降となるため、「肥満」に該当する方々の改善に対する貢献度は、残念ながらまだ分かりません。
ただ、昼食をスマートミールに変更し、生活習慣の改善にも積極的に取り組んでいる、という方が出始めているという声も届いています。食堂を利用される方の健康に関する意識が好転されるよう、内容の改善を繰り返しながら、スマートミールの提供を継続していきたいと思います。
茨城工場には社員食堂が2つあり、両方ともスマートミール認証を取得しています。ただ、認証ランクは、第一食堂は三ツ星で、第二食堂は二ツ星。次回の認証では、どちらも三ツ星を取得できるように準備を進めています。
グリーンハウス担当者:私たちにとってのゴールは、従業員の皆さんがベストコンディションで働けることです。皆さんに「おいしい」と思っていただけるスマートミールを提供しつつ、茨城工場の方々と協力しながら食事と健康に関する情報発信などもしていきたいですね。