健康寿命をのばそう SMART LIFE PROJECT
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「健康でおいしいお弁当」
を求める顧客の声を受けて認証を取得
野菜たっぷり&彩り鮮やかなスマートミール弁当

株式会社玉子屋

一日約3万5,000食の日替わり弁当を都内のオフィスや学校などに配達している玉子屋(東京都大田区)は、2021年7月にスマートミール認証を取得しました。スマートミール弁当の販売が始まったばかりとあって、毎日試行錯誤しているようですが、次の取組に向けて動き始めています。

スマートミール認証取得に向けたプロジェクトチームのメンバー。
写真左から、唐沢智さん(工場長)、上田哲史さん(リーダー)、齋藤純平さん(総務部兼システム責任者)、平戸貴志さん(調理チーフ)。
スマートミール認証を取得しようと思ったきっかけはなんでしょうか?
上田さん(プロジェクトリーダー):スマートミール認証を取得したのは2021年7月ですが、それ以前からヘルシーなお弁当であることを意識して、野菜を中心に肉と魚のバランスのとれたお弁当を提供してきました。当社のお客さまはオフィスで働く方、特に女性が多いので、野菜は量だけでなく、パプリカや紫キャベツ、キュウリなど種類もたくさん使い彩りの美しさを大切にしています。
認証を取得する前は、お客さまから「スマートミールはないの?」というお問い合わせに対しては、「スマートミールではありませんが、同じようなヘルシーなお弁当があります」とお伝えしていました。ただ、あるお客さまから「今後はスマートミールがある弁当屋を優先する」と聞いたり、同業他社がスマートミール認証を取るケースが出てきたので、「当社もそろそろ」と認証取得に向けた取組をスタートしました。これが2020年春~夏ごろです。
また、取組を始めるにあたってお客さまのニーズを伺ってみたところ、健康志向でおいしいお弁当を探している会社が多い、スマートミールには昼食代の補助を出している会社がある、といったことも分かりました。
スマートミールのメニュー開発をどのように進めていったのでしょうか?
上田さん:盛り付けと調理のスタッフを中心に、営業も加えた10人程でプロジェクトチームを立ち上げました。管理栄養士・栄養士は社外の方に依頼しました。
まず、他社のスマートミール弁当のメニュー構成や味付けなどを研究しつつ、通常販売している2種類のお弁当の栄養成分を計算し、スマートミール認証の基準と比べてどうなのかを把握することから始めました。お弁当のメニュー構成によって、認証基準を満たしていない項目がカロリーだったり食塩量だったりとさまざまでしたが、いちばんネックになったのが食塩量でした。初めてのチャレンジということもあって、まずは1種類のお弁当に絞ってスマートミール認証の「ちゃんと」と「しっかり」のうちの「しっかり」を目指すことにしました。
平戸さん(調理チーフ):冷めた状態でおいしく召し上がっていただけるよう味付けは濃い目、つまり、食塩量は多くなりがちです。それまでは「味付けがちょっと物足りないな」と感じたら、しょうゆや塩を足せばよかったのですが、スマートミールではそれができなくなるので、「意外と大変かもしれない」と思いました。
そこで、しょうゆや塩に頼るのではなく、煮物や和え物、おひたしなら食塩量の少ない顆粒だしを使い、中華風の炒め物やあんかけなどには無塩の鶏がらスープを使うようにしました。こうした工夫をすることで、おかずの食塩量を平均で30%程度減らすことができました。
カロリーに関してはあまり苦労しなかったのですが、肉は一度茹でて下ごしらえをしておくと脂肪分が落ちてカロリーを抑えることができます。臭みも消せるので、ショウガやニンニクなど臭み消しの調味料も減らせます。カレーやシチューなどの家庭料理でも取り入れやすい工夫だと思います。
上田さん:あと、肉・魚料理のたれやドレッシングを工夫することで、しょうゆやソースを別に付けなくてもいいようにしました。スマートミールの開発を進めていく中でおかずのレパートリーを増やせたので、大変でしたが実りあるチャレンジだったと思います。今回は、家庭でも手軽に玉子屋の味を味わっていただけるようなおいしいオリジナルレシピを紹介しますので、ぜひお試しください。​
スマートミール弁当に対するお客さまの反応はいかがでしょうか?
上田さん:現在(2022年1月7日時点)は、4社のお客さまからご注文をいただいています。なかには、「スマートミールだから」と別のお弁当屋さんから乗り換えていただいたお客さまもいます。
召し上がった方からは、「彩りが鮮やかでいい」「野菜をたくさんとれてうれしい」「健康的でおいしい」など、好意的な感想が大半で手応えを感じています。一方で、女性の方から「量がちょっと多かった」というご意見をいただいたので、もう1種類のお弁当でスマートミール認証の「ちゃんと」を取得しようと検討を始めたところです。
スマートミール弁当の販売を開始したのが2021年7月で、ホームページで告知しているだけですが、お問い合わせは多いです。ただ、スマートミール弁当(550円)は、もう1種類の別のお弁当(470円)よりも値段が80円高いので、即導入とならないんです。そうしたこともあって、470円のお弁当で「ちゃんと」を取得したいと考えています。
ある日のスマートミール弁当。主菜は、牛肉の塩レモン炒め、イカかつ、銀サワラの照焼。副菜は、野菜サラダ、きゃらぶき、大根一夜漬、千切りキャベツ ドレッシング添え。デザートはクリームコンフェ。ごはん(150g)を含めたエネルギーは692kcal。
コロナ禍の影響はいかがでしょうか。販売方法やPRで工夫していることがありましたら教えてください。
上田さん:売上は、一番悪いときでピーク時の60%程度まで落ち込んだものの、現在はかなり持ち直しています。お客さまへのPRでは、外に出なくて済むので人との接触を最小限にできること、お昼どきの混み合った飲食店に行かなくてよいことなど、お弁当ならではのメリットをお伝えしています。
スマートミールの販売を始めたことで、社員の皆さんの健康意識や会社の健康づくりに良い影響はありましたか?
上田さん:従業員同士の雑談の中で「健康」が話題になることが増えましたね。「ちょっとお腹が出てきたんじゃない?」と言いながらお腹を指差すといった様子が見られるので、健康が身近になったのだと思います。
会社としても2021年2月に健康経営がスタートし、全国健康保険協会東京支部(協会けんぽ東京支部)と協力して「健康企業宣言」を行いました。事務所に血圧計や体重計を設置したり、「健康NEWS」を発行し社員の健康づくりに力を入れているのですが、お客さまに健康な食事を提供するというスマートミールの取組との相乗効果もあって、社員の健康意識は上がっていると思います。
最後に、今後の展望についてお聞かせください。
上田さん:スマートミール弁当の販売数は、まだ多くはありませんが、ノウハウを積み上げている段階なので、当面はこれでいいのかな、と思っています。今はメニュー会議で「そのおかずより、こっちのおかずを入れたほうがいいんじゃないか?」「いや、それを入れると食塩量がオーバーするかもしれない」といった感じで意見がまとまらなかったり、メニューが決まった後に栄養成分などの数値がスマートミールの基準に合致していないことが判明したりと、すんなりといかないことも多いんです。ただ、ノウハウが溜まってくれば、食塩量や栄養バランス、彩りなどがうまくまとまるパターンが分かってくるはずなので、焦らず着実にやっていきたいですね。
振り返ってみると、スマートミール弁当を販売しはじめた頃は、食塩量などの数値を認証基準に合わせるのに精一杯で、役員が試食した際に「このサラダはドレッシングなしで食べるの?」「…はい、食塩量がオーバーしてしまうので仕方ないです」という、笑い話のようなやり取りがありました。当時は、認証の基準を守ることと、おいしさを両立させるという当たり前のことに気付けないほど、数値しか見えていなかったんですね。
経験とともに数値以外のところが見えるようになってきたので、玉子屋ならではのオリジナリティを追求しながら、もう1種類のお弁当でスマートミール認証の「ちゃんと」を取得することを目指して、新たなチャレンジをスタートさせたいと考えています!
2021年2月に健康経営がスタートし、全国健康保険協会東京支部(協会けんぽ 東京支部)の「健康企業宣言」を行った。ドリンクの自動販売機をお茶・水・無糖コーヒーなどに入れ替え、従業員向けに健康情報を発信する「玉子屋の健康NEWS」の発行など、健康づくり施策を実施。