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創業300年、名古屋伝統の味を受け継ぐ
老舗が作ったヘルシー弁当
株式会社八百彦本店
スマートミール認証を取得した事業者の取組を紹介する「全国スマートミール探訪」。今回は、3種類のお弁当でスマートミール認証を取得した、八百彦本店(本社/愛知県名古屋市)です。創業300年の歴史を持つ名古屋の仕出し料理(※1)専門店が提供する、健康とおいしさの融合とは?
※1 仕出し料理:お客様から事前に注文を受け、当日お届けする料理。
- 仕出し料理では、どのようなシーンで健康な食事が求められるのでしょうか。
- 川北さん:八百彦本店の創業は江戸時代。約300年続いている伝統の味を、地域の皆さまに提供する仕出し料理専門店です。毎朝、かつおぶしを削って、だしを取るのが伝統で、煮物は素材ごとに鍋を分けて炊き上げ、化学調味料に頼らずだしと素材の味で勝負しています。
当社のお弁当は、法事や食い初め、自治会の会合、企業の会議や研修などのときにご利用いただくケースが多いのですが、最近は学会やイベント会社などのお客様にもご利用いただいています。こうしたシーンで「減塩」や「スマートミール」をリクエストされることが増えており、お客さまの健康ニーズが高まっていることを感じています。伝統の味や技術を受け継ぎながら、「健康」というテーマで既存のお弁当をアップデートしたり、新しい商品を開発したりしていくことは、やりがいのあるチャレンジです。こうした取組を進めていくことが、新たな強みの発見にもつながると思います。 -
スマートミール認証を取得した3種類の弁当。写真左から、「菜華」1,200円税込、「味菜」1,200円税込、「美菜」1,200円税込。 - 3種類のお弁当でスマートミール認証を取得していますが、その経緯を教えてください。
- 川北さん:数年前、「医学系の学会で出すお弁当をスマートミールにしてほしい」とお問い合わせをいただいたのがきっかけで、開発をスタートしました。それ以前にも、別の学会で健康な食事をオーダーされたこともあって健康ニーズの高まりは感じていましたし、そもそも食事を提供する企業としてお客様の健康を意識するのは当然だと思います。
学会は2~3日間にわたって開催されることが多いので、毎日違う味を楽しんでいただけるよう3種類のスマートミール弁当を開発しました。
開発は、管理栄養士の資格を持っている羽賀が中心となって進めました。開発期間は約4カ月で、2020年に「菜華」「味菜」「美菜」という3種類のお弁当でスマートミール認証を取得しました。 - スマートミール弁当を開発する際に工夫したことを教えてください。
- 羽賀さん:一番大変だったのは減塩です。3種類のお弁当は、日本食の豊かな味わいを楽しんでいただきたいので、どれもおかずの品数が多く、味つけも多彩です。ただ、単純に味つけの種類を増やしていくと食塩量がどんどん増えていってしまいます。おいしく減塩するコツは、だしのうまみと風味を生かすことなのですが、それだけでは食べているうちに飽きてしまいます。そこで、「食塩を使うおかず」と「できる限り食塩を使わないおかず」というように、メリハリを意識しました。
例えば、「味菜」には名古屋名物のみそカツを入れたのですが、たれにはふだんと同じ赤みそを使っています。通常のみそは食塩が多いので減塩を考えると使いにくいのですが、地元の味を楽しんでいただきたいので減塩みそは使いませんでした。その分、だしのうまみを生かした煮物や和え物、マリネやレモン煮などで食塩量を抑え、全体のバランスの中で調整しました。
また、食材本来の味や食感を生かすことも、おいしく減塩する上でポイントだと思います。うまみ成分が多いきのこ類はシンプルな味つけの和え物に、甘みのある根菜類や豆類などはふっくらと炊いた煮物にというように、減塩しながら副菜のバリエーションを増やすことを心がけました。 - 予約注文だけでなく、デパートでも販売しているそうですが、お客さまの反応はいかがでしょうか。
- 川北さん:「美菜」「味菜」はお電話でのご予約のみでご注文を承っていますが、「菜華」はご予約だけでなく、名古屋のデパートのお弁当売場でも販売しています。
デパートの店頭にはスマートミールをPRするポップを置いているので、関心を持たれたお客さまから「スマートミールってなに?」とご質問をいただくこともあるようです。そこでの会話が購入につながるケースも多く、販売数もじわじわと伸びています。そこで、商品の特徴が分かりやすく伝わるよう、スマートミール弁当用に独自の掛け紙を作りました。スマートミールについての説明、カロリーや食塩相当量、PFCバランスなどの情報を載せているのですが、食べるときに目を通していただくと納得感も違ってくると思います。
街中で販売しているお弁当の中で、スマートミール認証を取得している商品はほとんどありません。当社のスマートミール弁当のファンを増やしたいという思いとともに、スマートミール認証という制度自体をより多くの方に知っていただくことで、食事を通じた健康づくりの大切さを広めていければと考えています。 -
スマートミール弁当の掛け紙。スマートミールの基準や食塩量、PFCバランス(P:たんぱく質、F:脂質、C:炭水化物)などの情報を記載しています。 - 今後はどのような形で食事を通じた健康づくりに貢献していきたいですか?
- 川北さん:お弁当で人気があるのは、やはり旬が味わえる商品です。現在のスマートミール弁当は特に季節性がある商品ではないので、今後新たに四季に合わせた4種類のスマートミール弁当をラインアップに加えていきたいですね。「食事と健康」に対する関心は今後ますます高まっていくでしょうから、そうしたお客さまのニーズに応えていきたいと思います。
羽賀さん:管理栄養士としての知識をいかし、大学をはじめ、地域の方々とも連携しながら、健康的な新商品を開発していきたいですね。古き良きものを守りながら、新しいニーズに応えていくのが八百彦本店のスタンス。赤みそを使う名古屋の味はカロリーや食塩量の面で難しい食材ですが、江戸時代から受け継がれている伝統の技術、栄養学の知識、そして、工夫やアイデアを掛け合わせることで、おいしくて健康的なメニューをさらに生み出していきたいですね。